wacci 橋口洋平 インタビュー2
2017/09/20
■この15曲、1曲1曲がとても濃いですよね!凄くPOPSに振り切っているけど、それだけでなくロック色の強い曲があったりと、更なる進化を感じました
「ありがとうございます。前作のアルバムがデビューから3年9ヵ月経って出したので、シングル6枚を含んだベスト盤みたいな感じだったんです。なので今回が初めてアルバムを作った感覚で!この曲はこういうアレンジだからこっちはこうだねとか、アルバムとしての曲の作り方が出来たので、凄く振り幅のあるものになったと思います」
■歌詞もより日常的で、曲中の人物の温度感が伝わるというか。wacciが“日常”を大切にしているのはなぜですか?
「人間って特別な事はなくても、普通に生きていたら沢山色んな経験をすると思うんですよね。仕事でつらいのにめっちゃ頑張って、家ではひとりで涙を流すことも、もしかしたらあると思うし、相手の事を想って自分のエゴを出さずに別れる人も居るし…そういう歌にできる事って日常に沢山あるなと思っていて。そこを歌う事で、世界を変えられるわけじゃないけど、誰かにとってのテーマソングみたいなそんな曲を描いていけたらきっと何かの役に立つんじゃないかと常に思ってやっています。このバンドは地味だけど、“誰かにとっての大切な曲”を届けるということをずっと貫き通してここまでやってきたので。これからも頑張ります!」
■日常の出来事を歌にするのはどういう瞬間が多いですか?
「歌にしたいと思った時かなぁ。今回のアルバムでいうと、分かり易いのがM12『男友達』ですね。僕、よく喫茶店で曲を書くんですけど男女の話し声が聞こえたりする時があって。女子は男子の事を何でも話せる友達だと思っているんです。で、男子はその話を良い男友達としてちゃんと聞くんですけど、実はその女子が好きみたいな。でもそれを言うと、友達というポジションが崩れてしまうから言えない…という歌なんですけど」
■聴いていてこの男友達の気持ちが伝わってきて、歯がゆいというか切ないというか、言葉に出来ない気持ちになりました(笑)
「そういう感情って喜怒哀楽では表せないですよね。だからアルバムに『感情百景』って付けたんです。喜怒哀楽以外にも数えきれないくらい感情があると思うので、そういうのを沢山描けたら良いなと思って!」
■沢山の感情と共に作られたアルバムなんですね。中でも切ない曲M14『サヨナラ』は、悲しいけれど前向きなサヨナラを描かれているのかなと
「別れて泣きすぎても“なんでこんなに泣いているんだろう、ウケる”って笑うような、悲しみの先にある笑いみたいなものが、この曲にはあるかもしれないですね。実はこの曲が一番古い曲で、結成当初からあるんですよ。いつもライヴでアンコールの一番最後にやっている曲なんです。なので、とっても切ない歌なのにライヴでのお客さんの満面の笑みが思い浮かぶんです(笑)」
■サヨナラというテーマでいうと、M6『駅』はまた違う視点で別れを描かれていますよね
「これは2番目に古い曲で。デビュー前に出来て、ずっとあたためていたんです。当初は1行目の歌詞を“君の事を想うからこそのサヨナラ”としていて、そこをテーマにした歌だったんですけど、そういう風に大人になって送り出せる事なんて中々なくて、もっと追いかけていれば良かったとか…結局後悔の連続なんじゃないかと。そういうのも5年経って俯瞰して見た時に、今の生活や恋があるけれど、その時の恋愛って凄く良かったよねっていう歌としてまとめたいなと思って、書き変えたんです。それで歌詞も“君の事を想うからこそのサヨナラなんて言ってた僕は幼くて”というものに変わりました」
■M3『感情』は、二人の“恋”が守りたい“愛”に変わっていくのを感じられる歌詞ですね。曲中の二人のように、こうありたいなと思いました。アルバムの中でも特に共感する人が多い曲なのかなと
「この曲は不思議で。言葉と共に、ライヴによって伝わり方が違ったりするんです。年配の方だと、旦那さんと出会った時を思い出したとか、若い方だとこういう恋愛をしたいという人も居るし。でもちゃんと自分に重ねて聴いてもらえている曲だなと思いますね。“たぶんぴったりじゃないね相性 だからこそ支えあえるきっと”という歌詞があるんですけど、一緒に過ごしてきたからこそ言える言葉だったりとか、ちゃんと人として相手と向き合ってきたからこそ伝えられる言葉が入っているラブソングなのかなと思っていて。そこが聴いてくれた人からリアクションとして返ってくるのは凄く嬉しいです。恋人だけでなく、家族とか友人とか、大切な人を思い浮かべて聴いて欲しい曲ですね」
■それぞれの曲の歌詞は橋口さんの実体験から書かれたものですか?
「自分の体験から書いた曲もありますが、シチュエーションは想像で作ったりもしますね。でも自分が感じた事のある気持ちだったり、言ってあげたい言葉や言われたい言葉、そういう感情面ではウソが無いように書いています」
■現在、アルバム収録曲のMVを1曲ずつYouTubeにて公開されていますが、これがメンバー皆さんの自作MVだとか…!
「そうです!アイディアから製作まで自分たちでやっていますね。『男友達』は村中(Gt.)が、『サヨナラ』は小野(Ba.)がそれぞれ一人で作ったりしています。あとの曲は横山(Dr.)と僕がやっていて。少しでも曲を聴いてもらえる機会を増やしたいという想いで作っています。いざ、やり始めると相当つらいですね(笑)でも、少しでも曲が伝われば…と!」
■ツアーの話に戻りますが、後半戦のスタートを切った品川公演では、今までに無かったダンスやラップバトルがあったとか。四国公演でも観られるのでしょうか!?
「僕、この見た目では想像できないかもしれないですが、ある新曲をガッツリノリノリでやっていまして。それは観られます(笑)!品川では爆笑だったんですけど…(笑)でも少しずつ、エンターテインメントとして楽しいものというか、来てくれたお客さんが観ていて飽きないところを追求していきたいなと思います。ラップはですね、僕らはずっとライヴの後にお客さんとの距離を深めたいという想いから、アフターパーティーというのを開催していて。お客さんからワードを貰って即興で曲を作ったりしてたんですが、今回のツアーのアフターパーティー(アルバム「感情百景」をご購入頂いた方をご招待する『Bonus track』という名の特典会)では、会場で、どんなに小さいことでもいいから頑張っている人に、村中がとにかく褒め倒すラップを即興で作って、会場のお客さん皆でその人を応援するという企画をやっています。それは必見ですよ(笑)」
■ライヴが更に楽しみになりました!さて、四国公演はもう目前!9月30日が松山サロンキティ、10月1日が高松DIMEとなります。どんなライヴになりそうですか?
「初めてワンマンライヴをさせていただくので、不安もありますが、期待と気合十分で臨む四国2デイズになりそうです!僕らのライヴは、大切な人と来ていただいても楽しめるし、一人でももちろん楽しめます。何より普段音楽が身近にない人でも、ライヴに来たら音楽ってこんなに楽しいものなんだって思って帰ってもらえるような“垣根のないライヴ”を常に心掛けているので。1曲も知らなくても良いので、コンビニに行く感覚で気軽に来てくれたら、忘れられない最高の思い出を作ってもらえると思います。ライヴ後に、この日の思い出や余韻で、また明日から1週間頑張ろうと思ってもらえるような、心に元気をあげられるようなライヴを絶対にするので!」
■そしてツアーファイナルは12月10日にパシフィコ横浜メインホールで行われますね!
「40本という僕らにとって未知の本数を回ってのファイナルという事で。僕らも観たことのない景色を作るべく、ツアー1本1本をその日に向けて頑張って、その日は最高の状態でステージに立ちたいと思います。いつも“来てくれてありがとう”という言葉を伝えているのですが、その日はそれだけじゃなくて、wacciを見つけて良かったと本気で思ってもらえるようなライヴにしたいと思うので、是非とも皆さんに遊びに来て欲しいなと思います。よろしくお願いします!」
PROFILE
橋口洋平(Vo.Gt.)、小野裕基(Ba.)、村中慧慈(Gt.)、因幡始(Key.)、横山祐介(Dr.)から成り、聞く人全ての「暮らし」の中にそっと入りこんでいけるような歌を届ける5人組バンド。2012年11月にミニアルバム『ウィークリー・ウィークデイ』でメジャーデビュー。5thシングル『大丈夫』や6thシングル『歩み』など、連続ドラマの主題歌を手掛け話題を集める中、今年5/25からバンド史上最長35か所40公演のワンマンツアー「あっち、こっち、そち、わっちツアー2017~感情百景~」を開催中!
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