前作のアルバム『東京ウォール』から1年と3ヶ月、『回帰線』と名づけられた3rdアルバムは、ジャパハリネットのジャパハリネットによるジャパハリネットらしさを再確認した作品。初期衝動にも似たイキのいいジャパハリ節が轟く意欲作!隣の家のあんちゃんが、そっと背中を押してくれる!やっぱりジャパハリネットはこうでなくちゃ。
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interview&photo●aco nagata
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●インディーズからメジャーへ、デビューして2年とちょっと。がむしゃらに走り続けてきた彼らにとって、今作は自分自身と向き合う機会でもあった。
「バンドにとっても自分にとっても、一番忘れちゃいけない部分っていうのが最近薄れてきていたなと。一番の核が今までの作品とかライブとかで見え隠れしてて、それを取り戻す為のアルバムだったと僕自身は思っていて」(中田衛樹/G.) 
作品を作り、時間が経ったことで客観的に曲を聴ける様になった今、やっと浮上できる入り口に立てたようだと彼は言う。
「この回帰線っていうのは戻るんじゃなくて、スタート、スタートラインにやっと立てたのかなと思うんです。そういう気持ちで次へ繋げる作品」(中田)

 今のジャパハリネットに必要なもの…『回帰線』は彼らにとって大切なものに気付かせてくれた作品でもあったよう。
「とにかく音が元気よくて、イキがよくて、勢いがある。それが最低限の基本コンセプトだったんですよ。そういうのが…だんだん元気無くなってくるんですよね、ずっとやってると。特に元気が無いといけない人が元気が無くなってきてたりしてて(笑)※けんじろ君を横目で見ながら」(中田)
「うん、ほやねぇ(笑)。結果論から言うと、えー僕はこの作品作って単純に元気になりました!皆さんもご存知の通り、病気で入院したこともあって、皆に大迷惑をかけてしまったんですけど、一先ず医者にかかってしっかり休んでみて、何年か振りに九州を一人旅
してみたりして…。色んな事を考えたんです。根本的に自分が音楽をやる理由とか、ステージに何故立つのかとか、長くやっているうちになんか分からなくなってくることがあるんですよね。僕はそれをずっと自問自答してて、そういうことを続けていると必然的に元気がなくなるというか、考え込み過ぎるというか。それを突破できるきっかけがこの『回帰線』にあったというか…。だけど本当はそれじゃいかんのですよ、それを消化できた上で作品を作らないとダメで。毎回そうやって言いよるけん、納得いかんのですよー」(城戸けんじろ/Vo.)

 いつもハツラツとしていて明るい彼ら、聴き手に元気を与える側の苦労というものは、実は並大抵のものではないのかもしれない。光があれば闇があるように、ジャパハリネットなりのストイックさを垣間見た気がして、熱いものが込み上げてくるようだった。
「もっとバカになってね、やれればいいんやと思うんですけど(笑) いろんな意味で真面目過ぎるんですよ」(けんじろ)
 さて、作品を作ってみて見えてきたものは、ナイーブな所ばかりではない。もちろん新しい試みや、更なる目標も。楽曲として初の中田作品が生まれた事は、特筆すべき嬉しいニュース。
「前々からやってはいたんですけども、ずっと途中で挫折してて、だから今回はちょっとやってやらんといかんなと。なんとか形にできた事で自信には繋がったなと」(中田)
 そしてけんじろはメンタル面での進歩が…
「自分がギュウゥとなるような動き方だけはせんとこうと、伸び伸びやれる環境を今まで自分が作ろうとしてなかったと思うけん!で、ジャパハリネットの核にめり込んでいきたい。メコーって!なんぼやっても外れんみたいに(笑)」 
「自然と人前に出よったらカッコつけますからね、普通なら誰でも。でも、カッコつけ出したら、もう僕らみたいなバンドは終わりじゃないですかね?だから叩かれた方がいい。何なん?あのジャパハリネットって!(笑)そのくらい素でおりたいです」(中田) 

揺ぎ無い立ち位置を確認できた今、ジャパハリネットは大きな進化を遂げたのだろう。これからの彼らがみものですよ!


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