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3/4(金)サンポートホール高松 text●真鍋亜弥 photo●aco nagata
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春を待つ夕べ、永積さんのお宅にお邪魔した。外はまだ冬だけど、心はぽかぽか春もよう。
帰ってから、寒くなってもいいようにと思ってくれたのだ、きっと。
●ちょっとそこのコンビニから帰ってきたような足取りで、彼はステージ脇からひょっこり現れた。ステージのまんなかには、彼が家から持ってきたソファー、じゅうたん、ミニテーブルとライトスタンド…。永積家の再現図みたいな空間に、オーディエンスは「こんばんわ、お邪魔してます」というような気分になる。そして、ふわりと歌が始まった。
ツアー初日ということで、はじめは「ホール+静寂+弾き語り」という状況にお互いぎごちなさを感じてしまったが、2曲目の「家族の風景」で、早くもハナレ・ビートは全開。「督促嬢」では、促されることなく自然に手拍子が始まったのが嬉しかった。彼も嬉しそうで、それを見てまた嬉しくなった。
彼の歌声は実に独特だ。音色には本当にいろんなニュアンスがあって、すべての音がつながってるみたいに聴こえてくる。音のすべり台をすいすい〜とすべっていく感じ。少し鼻にかかっているところも好き。心を満たすのは、うたた寝してるような心地よさと目を細めてしまいそうな懐かしさ、そしてじわじわと侵食する切なさ。歌だけじゃなくて、ゲストの大穂さんとセッションしてるときの少年のように得意げな顔も、スーパーカーの「LUCKY」を歌った後でつぶやいた「(解散しても)歌は残るよね」という言葉も、「高松なだけに、タカマってきたよ」と、お得意のダジャレを2回も繰り返したことも、すべてが愛おしい。いいなあ、素敵だなあ…。
ずっと居たくなる永積家。「お招きありがとう、さよなら。また遊びにいくからね」。

●AL「帰ってから歌いたくなってもいいようにと思ったのだ」
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