アーティスト?それともミュージシャンか?いや総合的な意味で彼は実にアンビバレントなエンターティナーだと思う。史上空前の米米CLUBというバンドをブレイクさせ、それに甘んじる事なく絵画、彫刻、映画監督としても類い稀な才能を発揮。バンド解散後もソロとして活躍を続ける中、四国では久々のライブツアーが決定した。キャンペーンにて来高した石井竜也に、ライブに向けての話を聞いた。text●aco nagata


「今回のライブは本当にシンプルな4人編成。初めての試みなので自分でも凄くワクワクしてるんですけどね」


―かなり久々のライブになると思うんですが…(笑)
「こんな事言っちゃったらファンの人達に殴られそうなんだけど(笑)…94年のアリーナツアー以来だから、本当に10年振りとか!」

―ソロとしては初めてですよね
「そうですね。ただやってることはあまり変わらないんですけど(笑)

」―高松では何か思い出などあります?
「米米CLUBの時に県民ホールだったかな?3階まであって凄く圧迫感があったんだけど、めちゃくちゃあがっちゃって。一番とかブッ飛ばして歌ちゃったような思い出があります」

―石井さんでも緊張されるんですね!
「結構緊張屋さんなんですよねー(笑)ダメ男なんです。大体僕の座右の目が“一生小物”っていう」

―一同爆笑
「小物が一番!皆さんも大物になんない方がいいですよ!大きい人の後ろに隠れて“ですよね〜”ってのが一番!あとね、高松は街が丁度いい大きさだから、よく街には出かけましたね。酒はガンガン飲む方ではなかったんですけど、高松来ると飲んでたような気がします」

―さて、冬のツアーがバラード中心のステージ構成だったようですが…
「ええ。普段のツアーがどちらかと言うとド派手で、ダンサーだのラッパだの付けてやってるんですけど、冬は意外とオーケストラをバックにしたりとか、しっとりとしたコンサートを心掛けていたんですね。というのもファンの子達も家庭を持っていたり、あと若い子なんかはもしお父さんを連れて来た場合でも“なんだ石井竜也ってこんな素晴らしいコンサートやってんだ、イイ奴だな〜”なんて口実が欲しい訳ですよ。他にもいきなり全員が踊ってるコンサートに友達連れて来たりしちゃったら、その友達の目が点になってしまうので…。それだと逆に人が離れちゃうんじゃないかって。それでクッションのあるコンサートをやりたかったというか…石井さんっていい歌唄ってるのねっていう所から入って頂いて、あとは狂乱の渦に巻き込んで行くという…(笑)だから2wayでやってみてもいいのかなと。その幅を見せられるのが石井竜也の個性かなと思うんですよね。米米の時もそういうやり方をしたかったんだけど、なかなかド派手なイメージがついちゃうと自由にはできなかったですから…一人になったからこそ自由に動いてみようかなと」

―そこから見えてきたものが次のツアーへ繋がって行くというような?
「そうなんですよ。アコースティックなコンサートももちろんやった事はあるんだけど、よーく考えたら本当にシンプルな4人で(ギター、ベース、ドラム、キーボード)俺は音楽を表現して来たかな?って考えると無いんですよね。必ずダンサーやラッパを入れたり、MCまで取り揃えたり、もの凄く金屏風の前で歌ってた気がして…そうじゃなくて、今の若い奴らとコラボレートするんだったら、もうちょっとシンプルな編成で自分の歌を紳士に歌う姿を見せてもいいんじゃないかなって。自分の表現手段としてもそういうのがなかったし…初めての試みなんです。だから自分でも凄くワクワクしてるんですけどね」

―楽曲的には?
「決してバラードだけしか歌わないというのではなくて、どちらかと言えばノリノリのコンサートになると思うんですね。バンドの連中も皆20代だし」

―影響を受ける部分もあるのでは?
「やっぱり刺激的ですね!僕の20代とは全然感覚も違うし、カッコイイと思います」

―高松はホールですが、ライブハウスのような感覚も味わえたりするのかなって。他の地区ではZeppとかもあったりしますもんね
「そうそうそう!だからね、今回のツアーはイベンターの方々も心配してて…“石井さん何でそんなに小さなホールでやるの?”って。でも今回のツアーはライブハウスでやるのが一番効果的というか…ライブハウスで差を付けてやるというか、そこは自分の意気込みとしてあるんですね。ミュージシャンとして長年名前を連ねさせて頂いているわけだし、原点にもう一度立ち返って武者修行をしてみてもいいんじゃないかって。あとはやっぱり側にいるファンをどれだけウットリさせられるか、納得させられるかがきっとミュージシャンの本命であると思うんですけどね。だから挑戦かなと」

―ツアータイトル“SKETCH”に込めた思いはきっと深いんでしょうね?
「スケッチって一番恵まれない分野なんですよね。ドローイングはもう絵画としての価値があるし、デッサンっていうのは基本中の基本で額装してもカッコイイ。でもスケッチはあまり額装したいとは思わないわけですよね…でもスケッチっていうのは、ペインティングする前の試行錯誤や作家の心が繁栄されてて、本チャンを作る前の大事な土台になるものなんですよ。作家の一番苦労する場所、それがスケッチだと思うんです。だからそこに立ち返るという意味で…さっきも言ったようにライブハウスでガンガンやってた時の自分をもう一度振り返ってみるという意味でも共通するかなと」

―なるほどー深いですね(感心)
「あとドローイングっていうと何か楽器一本で奏でる感じ、デッサンだとストリングスを用いたアカデミックなイメージを持つし、ペインティングはショーアップされた完璧な世界…今回のツアーはシンプルな4人編成で…やっぱりスケッチなんですよね。そしてスケッチのように“気軽”に見に来て欲しいですね」

―色んな意味で新しい試みですね
「そうですね。東京ではそういうコンサートもありましたけど、小編成の石井竜也っていうのはなかなか地方(四国)ではできなかったので。新しい石井竜也を見て欲しいですね。バンドもカッコイイですよ!ルックスも集めましたし(笑) セットもちゃんと作ってますから…そこは手を抜いていませんよ!!1人になったからこそ、米米以上のものをやらないと、米米と比べられた時にどうしても見劣りしてしまうんですよね。同じ事をやっててもダメで…それ以上をやって初めて頑張ってるねって言ってくれる感じなんです。だからそこには凄く気を使っています」

―今回内容的には特別な構想とかはあるんですか?
「僕、喋りが大体マヌケなんで、そこはちょっと試行錯誤してネタを仕入れて…と思ってるんですけど、話は面白おかしくいきたいですね。何かド真面目に歌だけ唄っておしまいっていうコンサートは、俺もファンも求めてないと思うので。ただ今回のステージの雰囲気がちょっとアーティスティックな感じなんですね、あまり皆が見かけないような事をやってみたいなと思ってて。それで仕掛けているものがあるんですけど…面白い試みなので、クリエイティブな仕事をしている人達なんかは、見に来て頂くと色んなイマジネーションに繋がるんじゃないかと思うんですよね。具体的に言っちゃうと簡単にできる事だからね(笑) 真似されると困っちゃうから!!会場に入ってくるとまずそれにドキっとしちゃいますよ、きっと」

―それを聞くと益々ライブが楽しみになって来ました!では最後に四国のファンにメッセージをお願いします
「10年も来てなくて、急に来てコンサートやりますって…こんな失礼な奴いないなって思うんですよ(笑) 本当だったらもっとプロモーションにも来いよ!って。でも実は米米CLUBが今度のツアーのプロモーションだったので!!(笑)」

―一同大爆笑!!
「そう思って来て頂くと、ああなるほど!と、10年前からちゃんとやってたんだー!!と(笑)今の石井竜也も相当魅力的になってますんで、色んな苦労も、スキャンダルも出しながら生きてますから、それなりに深くなってるんじゃないかなって。その辺も含めてひやかしに見に来て頂けたら、へ〜っていう感じにはなると思うんで…なんなかったらゴメンナサイ!」

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●LIVE情報
石井竜也
TATUYA ISHII CONCERT TOUR 2004-2005
SKETCH -Book of GROUND ANGEL-
※未就学児童入場不可。小学生以上は有料。

04/12/12(木)19:00
香川県県民ホール(アクトホール)
全席指定¥850
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