より声高らかに…新世紀AIRが始動!
<<INTERVIEW>>

この日を心待ちにしていた。彼の口から直接聞きたかった。
先行シングル「ME,WE.」をリリースし、昨年末のZEPPも大盛況のうちに20世紀に区切りを付けたAIR。3/2には「Right Riot」ミニAL「Stilly」を同時リリースし、3/14には待望のNEW AL「Flying colors」を放つ。これらを引っ提げてツアーにのぞむ彼の心境は一体どんなものなのか?孤独な戦いの中でやっと戦友を得、勝利を得たAIRのスピリットがここに響く…。
 

「降谷君も含めRIZEのジェシーとかもそうなんだけど、自分に近いなって思えたりとか、好きだなって単純に尊敬できるバンドとかが増えてきてて…」

 「なんなりと…」そう言って始まった今回のインタビュー。黒のニットキャップを深めにかぶり、チェックのシャツに身を包んだAIRがそこにいる。警戒心などは全く無い、むしろ両手を広げて全てを包み込んでくれるようなオーラが、彼を目の前にすると静かに伝わってきた。「Stilly」「Right Riot」、一見方向性の違うこの2枚を同時リリースしたことで過去を含め、次に繋がるアルバムに向けて準備万端という風に私は受け止めていたが、そんなことは今の彼にとって、それほど大きな問題では無かった。AIRは言う「方向性が違う違うって皆に言われるんですけど…全然僕にとっては違う事でもなんでもなくって、サウンドカラーが違うだけで根っこの部分やモチベーション、音楽に対する価値観や方向性は全く一緒で…その切り口が違うってだけ。ジャンルなんてナンセンス。「Stilly」に関しては別に今でなくても良かったんですけど、でもまあ、せっかく出すなら全部のAIRの世界観をこのタイミングで味わってもらえたらいいかなって思って…(笑)」私が一晩かかって辿り着いた答えは、あっさり否定されてしまった。
 そんな余談はさておき、ファンとしてやっぱり一番知りたい部分は、やはりDragon Ash・降谷健志とのコラボレート…今まで頑なに(?)は語弊があるかもしれないが“一人であること”を続けてきたAIRだ。私達にとっては重大ニュースである。「最初っからフューチャリングとして決まってたわけでも何でもなくって、楽曲としていつもドラムは佐野さんで、ベースは渡辺さんって方にお願いしてて、ライブ、レコーディングを最初っからずっとやってもらってるんですけど、僕はこのお二人がすごく好きでミュージシャンとしてもすごく尊敬してて…それと同じで、この「Right Riot」っていう曲もオケ的には100%できてたんですけど、あと何が欲しいかって考えた時に、単純にあの降谷君の声、あの世界観のリリックがあって、BOTS君のスクラッチがあったら、もうこれはホント素直にカッコいいなっていうミュージシャンシップの部分からだったんですね。だから純粋にお願いしました」と言うAIR。人間的にもミュージシャン的にも尊敬でき、信頼してるからこそ他の人は考えられなかったと言う。「僕、ホントに友達も少ないし、好きなミュージシャンとかバンドとかも別に近年までいなかったから基本的に一人でやってきてたし、でも最近降谷君も含めRIZEのジェシーとかもそうなんだけど、自分に近いなって思えたりとか、好きだなって単純に尊敬できるバンドとかが増えてきてて…」。シャイな者同志、出会うまでに時間はかかったが、一つのモノを作るのにそう時間はかからなかったようだ。「実際面と向かって会ったのって4ヵ月前くらいからで、共通の知り合いとかいたんだけど、なかなか会えなくって…自然の法則で会えなくなってるんじゃないかっていうくらい(笑)、すれ違いが多くて…でも会うともうそれからは早かった。価値観も近いし、急激に分かり会えた感じ…(笑)」



「今までのAIRを好いてくれる方にとっては一番好んでもらえるアルバムだと思うし、これからAIRを聞いてくれる方にとっては最高の入門編アルバムになると思います。」

 FREEDOM以降、AIRの世界観・方向性は確実に確立されてきた。今回の「Flying colors」も勝利に翻す旗というコンセプトで、よりメッセージ性の高いアルバムになっている。それはもちろんAIR自身が自分に言い聞かせている部分もあるが、何より第三者に向けて放つ強い意志の表れでもある。「僕は今まで本当に孤高に戦ってきたつもりだし、どこに属しているつもりもなかたし、どこも居心地悪いし…う〜ん悪くも無いけど良くも無いって感じかな。唯我独尊で勝手にやってきたけど、でもそんな中で尊敬できるミュージシャンができてきて一緒に音楽をやれることは本当に幸せな事で…でもホント音楽を作ったり書いたりっていう行為は、ある意味孤独な瞬間とかがあって、自分との戦いだったりするんですよ。すごいクサイこと言ってるみたいなんだけど…そんな自分に打ち勝つぜ!みたいな。あと個人的に朝が苦手なんで、朝に勝たないと…(笑)とかね。バカみたいな日常のことだったりとか、社会的な権利というか社会で行使して行く権利を勝ち取るという意味であったり、社会的弱者といわれる存在?僕は動物も入ると思うんですけど、子供や老人や障害を持ってる方の存在に、「声にならない声」っていうフレーズがアルバムの中にもいっぱい出てくるんだけど、その存在や声に絶対に光を当てていかなきゃいけないって思ってるし、色んな意味で勝つんだっていう思いを込めて作ったアルバムなんです…」。そういう意味ではAIRの一番のベーシックな部分であり、根底になってる基本中の基本がこのアルバムな訳だ。だからこのアルバムは無敵、素晴らしいのである。そしてサウンド的にも実に懐の深さを見せつけてくれる一枚。「今までに比べてよりポップだし、よりラウドだし、よりファンキーだし、より声高らかだし、今までのAIRを好いてくれる方にとっては一番好んでもらえるアルバムだと思うし、これからAIRを聞いてくれる方にとっては最高の入門編アルバムになると思います。でも客観的に見ると凄いよね、降谷君がフューチャリングで、ジェシーがギターで参加。こんなに血の気の濃いアルバムができて最高!ホント今旬な男が二人も参加してくれてる。忙しいのに…ありがたい。」と、AIR自身も声高らかに大絶賛なのである。



「Right Riot」が持つ本当の意味。

 四国のお客さんは血の気が多いと語るAIRだが、「Right Riot」には実はこんな意味が込められている。直訳すれば正しき暴動とでも言うべきか、正しい暴動って一体何?と皆さん思う事だろう。少し見方・考え方を変えると何となく気付くはずなのだが、実はコレ、ステージ上から見たライブの風景でもあるのだ。「ステージがら見てる絵が本当にコレ暴動だなっていうところからきてて…」とAIR。モッシュ&ダイブが繰り返されるその風景はまさに暴動。しかしながら、ケガさせたりしたり、ケガしたりがなかったら…「好きな歌が聴けて…で、こんな正しい暴動ってないなって」。なるほど、世の中どこを探してもこんな正しい暴動ってない。フェアでかつ魂のぶつかり合う場所。ライブって本当に神聖な場所なのかも…。



「同じ時間、同じ場所を共有して本当に一緒に楽しみたい…。」

 「より若返ってるんじゃないかなって。最近思うんです。初めてギターを持った時の感覚と全く変わらず今も楽しくやってるからこそ、より楽しくなってるし、それをそのまま音楽に投影してきたつもりでいるから…自分から出てくるものにピュアに向き合って、その年齢でしかできないことをやっていきたい。」というAIR。その言葉通り、「Flying colors」からはそんなAIRの充実感のようなものがひしひしと伝わってくる。楽曲からはライブの風景が浮かび上がる楽しみ、歌詞からはAIRのスピリットを感じ取る楽しみ、そして夏のイベントなんかでコラボレートが実現したら…と考えていると今からもうワクワクしてしょうがない。
「とにかくアルバムが良いので。良すぎるので、楽しく聞いてもらいたい。で、ライブの絵が浮かぶような曲が満載なので、とりあえずライブに足を運んでもらって、同じ時間、同じ場所を共有して本当に一緒に楽しみたいので、遊びに来て下さい。ふつうだな…(笑)」。このAIRからのメッセージと共に、もう一度アルバムを聴いてみる…。彼が今まで表現してきたもの、表現したかったものはコレなんだ。「Flying colors」を胸に、明日からきっと強く生きて行ける…そんな自信が私の心に灯りをともした…。

 

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